医薬品の安全性文献スクリーニングにおける重複文献の問題
患者の安全性に関する文献をスクリーニングすることは、簡単な仕事ではありません。文献モニタリング検索戦略を最新に保つという記事で見たように、作業には非常に時間がかかり、ミスがあれば規制当局から厳しく罰せられる可能性があります。
さらに、重複する文献の問題が加わると、作業はさらに難しくなります。特定の治療分野に特化した製薬会社にとって、異なる薬剤の検索戦略は、重複する文献を生み出す可能性が非常に高いのです。重複する文献をレビューするたびに作業のコストは倍増します。多くの組織では、重複した文献を処理することで、文献レビューのコストが30%増加することもあります。Dialog Solutionsでは、文献の3分の1が重複しているような大手の製薬会社と仕事をしたことがあります。
文献の重複が発生する仕組み
右の例では、著者名と雑誌名が異なるだけで、いかに簡単に重複した文献が検索されるかを示しています。 この場合、著者名と雑誌名の記載方法が異なるだけです。人間のレビュワーなら気付くかもしれませんが、データベース検索システムによっては見逃してしまうかもしれません。
医薬文献のレビュープロセスに時間とコストがかかるのは、重複文献を原因とする一連の問題がエスカレートする最初の一歩に過ぎません。もし、重複が網の目をすり抜け、患者の安全性の問題を調査するために症例処理に回されれば、それは、さらに高い不必要なコストとなります。さらに、重複した文献が規制当局に提出されると、監査時に指摘を受け、CAPA(是正・予防措置)が必要になる可能性があります。
もう一つのよくある重複文献の原因は、臨床試験に関連して発表された会議録や雑誌の記事です。必然的に複数の文献が存在することになり、ある例では18もの文献が、全く同じ患者の安全性の問題を論じているのを見たことがあります。これは、症例処理 (ICSR) の段階で特に問題となります。
その他の要因としては、複数のデータベースで出版された論文、出版状況の変化、データ移行に起因する重複などがあります。
Drug Safety Triagerは、医薬品安全性文献スクリーニングの重複をどのように処理するか?
理想的なプロセスは、ファーマコビジランスチームが、関連する1つの論文だけをレビューして処理しながら、重複する文献を記録することです。
DialogのDrug Safety Triagerは、複数の薬剤について同じ論文が検索された場合に、重複を処理するためのシンプルでエレガントな方法を備えています。異なる薬品について重複した文献をインポートするのではなく、一旦文献をインポートし、関連する薬品でそれぞれタグ付けします。こうすることで、重複する文献は発生しなくなります。また、複数の薬品をカバーする1つの文献として扱うことができるようになります。医薬品の安全性管理部門がインポートまたはレビューする文献の95%は、安全性とは無関係であることを念頭に置いておく必要があります。このアプローチでは、複数の医薬品に対してワンクリックで安全性の問題に対するフラグを立てる(または立てない)ことができます。
堅牢なアルゴリズムが自動重複除去の処理を実行します。Dialog Solutions は文献の自動的な重複除去を提供し、Drug Safety Triager はさらに手動による重複除去のオプシ ョンを提供します。コンテンツプロバイダーによっては、データが “ダーティ “で標準化されていない場合があるため、その場合は、文献モニタ リングソフトウェア内で追加の重複除去アルゴリズムを適用することができます。この方法では、重複の可能性がある文献はレビュアーの目に留まり、レビュアーはその文献が重複しているかどうか、評価が必要かどうかを判断します。
その他の重複除去の仕組みとしては、デジタルオブジェクト識別子(DOI)やその他の出版物要素に基づくもの、複数のデータベースにまたがる重複排除、アラートメモリを利用したものなどがあります。
重複文献を排除する事の重要性についての資料(英文)は、Dialog Solutions の販売代理店 (株) ジー・サーチの担当までお問い合せください。